“ハードルが高い”と感じられることも多い古伊万里。でも実は、意外にもリーズナブルで、1客2,000円ほどから手に入ることも。丈夫でお手入れもしやすく、和食だけでなくどんなお料理にもあううつわ、古伊万里。花を飾るもよし、お菓子入れるもよし、カギや小物、アクセサリーを入れてもOKです。
何代も前から大切に受け継がれてきたうつわにしかない味わい深さと、本物だけが持つ魅力を体感してみませんか。古伊万里の素晴らしさを少しでも知ってもらえたら嬉しいです。
古伊万里とは?
伊万里焼とは、肥前国(現在の佐賀県・長野県)で作られていた磁器の総称です。
現在の有田焼、伊万里焼、志田焼、波佐見焼などは、明治30(1987)年に九州鉄道が開通するまで、すべて伊万里焼と呼ばれていました。呼び名が分かれる前の時期、主に江戸時代に作られたものが「古伊万里」と呼ばれています。
17世紀末から18世紀はじめには、これまで一部の裕福な人々のものだった伊万里焼が庶民の器として日本中で使われるようになります。豪華絢爛で高貴なものとは異なり、丈夫で清潔感のあるくらわんか茶碗などが作られ、暮らしに彩りを添えました。
古伊万里の楽しみ方
長い長い時を経て、味わいが増す古伊万里。光にかざすと見えるスレや傷は、その年月を物語っています。
金や全体の色が少しあせてくるのもまた、流れてきた時を想像させるもの。その昔、職人が丹精こめて作り、それを誰かが大切に受け継いできたのでしょう。触れてみると、角がとれ、しっくりと手に馴染むものもあります。
うつわを手に、作られた時代やこれまでの歴史に想いを馳せてみませんか?
普段使いで料理のアクセントに
いつもと同じ料理でも、うつわを古伊万里に変えてみると…食卓がパッと華やぎ、いつもより美味しそうに見えるんです。たった一皿だけでも、雰囲気がガラリと変化します。
古伊万里だから和食!という決まりはありません。和・洋・中・エスニックにスイーツ。どんなものでも素敵な逸品に変えてしまう、懐の深さがありますよ。
アレンジ自在で自由に使える
古伊万里を使うのは、食事のときだけとは限りません。玄関に置いてキーケースにしたり、ちょっとしたお菓子を入れておいたり、ご近所で摘んだ野草をいけてみたり。アイデア次第で、自由に使ってみましょう。
初心者は豆皿・そばちょこがおすすめ
「古伊万里は素敵だと思うけど、ハードルが高い…」そんなあなたは、値段もお手頃、いろいろな用途に使えて幅もとらない、豆皿やそばちょこから始めるのがおすすめです。
毎日触れて、見て、使ってみると、その良さに気づくはず。そこにあるだけで、生活に彩りとうるおいを与えてくれる、それが古伊万里。少しでも興味がわいたら、ぜひ手に撮ってみましょう。
絵やモチーフにも注目
動物や植物など、描かれているモチーフにも注目してみてください。一つひとつ手描きなだけあって「あ、この職人描くの飽きてるかも」「こんなところに小さな鳥が隠れてる」
など、おもしろい発見があるかも。
同じ絵柄のものでも、筆の運び、色の濃淡、ディティールの描き込みなどが異なり、それぞれに味があります。描かれている人物や動物の顔も微妙に違うので、お気に入りのものを探してみましょう。
プレゼントにもぴったり
古伊万里はすべて一点もの。だからこそ、他の誰とも同じにならない、特別な贈り物になります。アンティークなものを贈るのは気が引ける場合は、うつわにお菓子や小物を入れて渡してみてはいかがでしょうか?
伊万里のような九谷焼「大聖寺伊万里」
大聖寺伊万里とは、九谷焼の産地、石川県九谷で作られた伊万里焼です。明治初期から大正末期にかけて、九谷では伊万里焼を模した作品が大量に作られました。その製造量は本場をしのぐほどと言われ、当時作られたものを「大聖寺伊万里」と呼びます。