日々の食卓に登場する「うつわ」。毎日使い、触れ、目にする日用品です。一方で、骨董の世界のうつわとなると、高価で難しく、私たちには手が出せない…と感じていませんか。
けれど本当は、うつわは自由で楽しいもの。生活の中で使ってこそ、その本領を発揮します。
ここでは、そんなうつわの基本をご紹介します。基本の知識があるだけで、うつわの持つおもしろさが、ぐっとリアルに感じられますよ。

陶器と磁器の違い

総称して陶磁器と呼ばれる「陶器」と「磁器」。その違いを説明します。

温かみのある陶器

「土もの」とも呼ばれる陶器は、その名の通り見た目が土っぽく、あたたかい印象を受けることが多い焼きもの。原料の主成分は土でできており、磁器よりも柔らかく、低温で焼いて形成されます。

陶器の主な産地 備前焼、信楽焼、萩焼、益子焼、美濃焼など

普段使いもしやすい磁器

磁器は「石もの」と呼ばれ、ガラスのような見た目が特徴。原料の主成分は石で、陶器よりも高温で焼き上げられており、丈夫で洗いやすい焼き物です。

磁器の主な産地 伊万里・有田焼、九谷焼、京焼など

骨董品と現代物の違い

骨董品、現代物という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
今から100年以上前に作られた陶磁器が骨董品と呼ばれます。一方の現代物は、ここ100年以内に作られたものです。

骨董の器にはこんなものも

うつわはもろく割れやすいもの。現存しているのは、人から人へ大切に受け継がれてきた証とも言えるでしょう。多くの人や歴史を経て残っているうつわは、新品とは一味違う深みのある魅力があります。
スレ、ヒビも味わいのひとつ。金継ぎで修復し継承されるうつわも少なくありません。誰かが受け継ぎ、使い、修復し、大切にしてきたもの。そんな歴史やストーリーを秘めているうつわをあなた自身の手で育て、次へ繋いでいきませんか?

デザインや絵付けに関する用語

染付(そめつけ)白地の器に呉須(ごす)やコバルトと呼ばれる顔料で文様を描き、絵付けした上から透明釉をかけ高温で焼き上げ形成した器のこと
染錦(そめにしき)素焼生地に直接描き釉薬をかけて焼いたもの(染付)の上から更に絵付けを行ったもの。色絵・赤絵(いろえ・あかえ)とも呼ぶ
金襴手(きんらんて)色絵磁器に金彩を施している装飾技法のことで五彩とも呼ばれる
白磁(はくじ)白素地に無色の釉薬をかけた磁器のこと
青磁(せいじ)釉薬の中に含まれる鉄分が還元炎焼成によって青く発色した焼物のこと
蒔絵(まきえ)漆の器に絵や文様を描きその上から金や銀の金属粉を蒔くことで定着させる絵付けの技法
輪花(りんか)口縁部に規則的な切り込みをいれた花弁のような形の器のこと
象嵌(ぞうがん)一つの素材に異質の素材を嵌め込む工芸技法のこと。