原料となる土や焼き方、絵付けや仕上げ、釉薬など、世界には多種多様な焼き物があり、それぞれに歴史とストーリーがあります。焼き物だけなく、漆器やガラスなど、うつわは形も素材も様々です。

それぞれのもつ個性は何者にも代えがたい魅力。ここでは、うつわのブランド別に特徴をご紹介します。

伊万里

伊万里焼は、肥前国(今の佐賀県・長崎県)で生産された磁器の総称です。透明感のある白の素地、呉須による染付や、染錦・金襴手と呼ばれる上絵付けなどが特徴。耐久性が強く、美術品から日用品まで様々なものが作られています。17世紀、日本で初めて生産された磁器でもあります。

伊万里焼は年代によって焼き方やデザインが大きく異なります。初期の頃は中国の技術を取り入れた試行錯誤の様子が伺えますが、やがて日本ならではの味わいのあるものが多くなってきます。ヨーロッパへの輸出が始まると、絢爛豪華なデザインが王侯貴族の間で大ブームに。江戸時代後期に貿易が終了すると、国内需要が広まります。庶民向けの茶碗や皿などが生産され日本中で使われるようになり、人々の生活に溶け込んでいきました。

伊万里焼は、時代を反映して変化してきた焼き物と言えます。

九谷

九谷焼は、石川県加賀地方で生産される磁器。力強く華やかな多色の上絵付けが特徴です。緑・黄・赤・紫・紺青の「九谷五彩」と呼ばれる色絵や、赤を用いず余白を埋めるようにして塗られた「青手」など種類は多岐に渡ります。金彩を大胆に用いた金襴手もよく見られ、絵画的な構図や美しさから美術品としても価値が高い焼き物です。

備前

備前焼は、岡山県備前市で生産される焼き物です。絵付けをせず、釉薬も使わないシンプルな焼き物で、土の味と質感が特徴です。温度や灰、炭によって柄が変わり、ひとつとして同じ作品はありません。高温で焼かれるため強度があるのもポイントです。

京都で生産される焼き物を総称して、京焼・清水焼といいます。京焼は江戸時代の初期、茶の湯の流行と共に広がりました。清水焼は、清水寺の参道・五条坂で作られていた焼き物です。

美しい色絵の豪華な作品が多いですが、特定の様式や技法はありません。日本中から腕利きの職人と上質の材料が集まり、時代により個性的な作品が次々と作られました。

美濃

美濃焼は、かつて美濃国と呼ばれた地域(現在の岐阜県南部)で作られた焼き物の総称。決まった技法はないものの、黄瀬戸・黒瀬戸・志野・織部の4様式が基本です。

奈良時代に作られた、朝鮮半島に由来する土器・須恵器が起源といわれています。茶の湯の流行とともに、安土桃山時代に隆盛を極めました。しかし江戸時代に入ると、茶陶は京焼が中心となり、美濃焼は日用品の生産が盛んになります。

輪島塗

輪島塗とは、石川県輪島で生産される伝統工芸品です。天然漆と天然木が使われており、丈夫で使いやすく、見た目にも美しいのが特徴。使う程に美しさが増し、長年使える漆器です。

乾燥に3〜5年を費やした後、半年〜1年、100以上もの工程を経て作られています。大きく分けて漆、木地づくり、きゅう漆、加飾と工程は4つ。とくに蒔絵や沈金などの美しい装飾を施す加飾は、輪島塗の特徴ともいえるでしょう。

民藝

民藝とは、大正15(1926)年、柳宗悦・河井寛次郎・浜田庄司により提唱された生活文化運動です。工芸の世界では豪華な装飾や観賞用作品が主流だった時代、無名の職人が生み出す日用品を民藝(民衆的工芸)と呼び、日用品や生活の中に宿る美を尊重しました。

唐物

唐物とは、中世から近世にかけて中国から渡来した品物の総称です。唐物の焼き物は鎌倉・室町時代に多く輸入され、飾り物として重宝され、現在でも中国骨董として人気を博しています。

西洋

西洋の焼き物はロイヤルコペンハーゲン、マイセン、デルフト陶器、ペルシャ陶磁器、他ブランド物など多岐にわたります。

Baccarat

バカラはフランスを代表するクリスタルガラスのブランドです。1763年、フランス国王ルイ15世によりロレーヌ地方にガラス工場設立の許可が出されたことからスタートしました。

底に見られるエッチングのマークは、1936年からのものです。それ以前は刻印がなく、オールドバカラと呼ばれています。

1616 / arita japan

1616 / arita japanは、400年の歴史をもつ有田焼の伝統と現代のデザインが融合したブランド。洗練されたシンプルさと、丈夫な作りが特徴です。

日本で初めて陶磁器が作られたのは1616年。遥か昔の記憶を引き継ぐように名付けられました。